偽物かっぷる
期限切れ
私が仁哉くんに与えた時間は1週間。
短い?
でもね
私にとってはすごく長い1週間だったんだ。

1日目。
返ってこなかった。まぁ期待はしてなかったんだけど。
友達が
「返ってきた?」
って聞いてくるのにたいして
「まだなんだょ。」
と笑うことしかできなかった。

2日目も。
3日目も。
喋ることもなければ
ノートが返ってくることもない。
ただ私は友達に笑顔で
「まだなんだょ。」
って言ってるだけ。
無駄に動くことはもう止めたんだ。
悲しくなるから。

でも4日目の今日。
私の作り笑顔は消えた。
ふと目についたのは仁哉くんの筆箱。
その筆箱に
前ついていたはずのミサンガがついてなかったの。
私の筆箱にはまだついてるんだけどな。
気持ちの違いが目に見えて
涙が溢れてしまった。

結局そう。
期待した私が馬鹿だった。
はじめから偽物だったんだもん。
なに好きになってるの?
おかしぃじゃん。
なんか笑えてくる。
でも涙が止まらないのは何で?

私の心の中は
仁哉くんでいっぱいだったから。
きっとそう。好きすぎたのよ仁哉くんのこと。
それに信じてたから。
今の関係は崩れないって。
仁哉くんは私から離れていかないって。
偽物でも楽しくて幸せだったから。
でも終わっちゃったんだね。

溢れる涙は友達が止めてくれた。
こんな時そばにいてくれるのは
やっぱり友達なんだね。
ありがとうの気持ちを胸に抱いて笑って見せた。

5日目。
やっぱり返ってこない。
6日目。
返ってこなぃ。
そして最終日。
友達から言われた一言。
「仁哉くんに“友達から渡されるのと俺から渡されるのどっちがいい?”って聞いてって言われたんだけど。」

友達を巻き込むのは止めてよ。
2人のことなんだから
2人で解決しようよ?
そんな小さな願いすら叶えてはくれないんだね。














 

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