遺言結婚


私の目の前にあるのは、お父さんの遺書だ。

ん?

なにこれ・・・。


『読めないのか?じゃ俺が読んでやるよ』

『私にもしもの事があった場合広瀬を社長にし、どちらかの娘を広瀬と結婚させてくれ。』

『なっ!冗談じゃないだろ。』


確かに書いてある。
前からたまにおかしなことを言う人だとは思ってたけど、遺書にこんなこと書くなんて・・・変わった人だ。

でも・・・

「広瀬さんもいやでしょ。会ったこともなくて歳も離れた人と結婚なんて。だからやめましょ!」


『俺はお前のこと・・好きだから嬉しい。しかも遺書っていうのは絶対なんだってよ。だからやめるのは無理だな』


もう仕方ない。私まだ学生だし収入ないし・・・杏育てなきゃいけないし。
成人になったら離婚だってできるはず。
今だけの辛抱だよね・・・。



そう考え私は婚姻届にサインした。




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