らっく!!


「それで…」


匡人は携帯をパチンと閉じるとポケットにしまった。


「お前はあの子のこと、どう思ってるんだ?」


どう思ってるって…。


「…可愛い妹…?」


一番この言葉がしっくりくる。


「お前バカじゃねぇの?ここ数日の落ち込みようを、妹の一言で説明できると思ってんのか?」


呆れた匡人は俺に言った。


「だーかーら!!美弦ちゃんは俺の恋愛対象じゃねぇよ!!」


手を出したら紘一さんからどんな目に遭わされるかわかんねーし。







でも…










何故だろう…?


彼女の泣いた顔が頭を離れなかったのは―…。


目に涙を溜めて俺を見つめる彼女に未だかつてないほどの胸の痛みを覚えたのは―…。


笑った顔が可愛いと思えるのは―…。


何故だろう…?


俺は匡人が言ったように妹みたいな存在だって思いこもうとしてんのか…?


この気持ちの正体がわかるのはもう少し後のことだった―…。

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