らっく!!


「あれ…?誰もいない…」


凪ちゃんに言われた通り中庭までやってきたはいいが中庭には誰もいない。


おっかしいな…凪ちゃん間違えたのかな…。


そう思い携帯を取り出す。


紘一さんが買ってくれた携帯は丸みを帯びたデザインで色はホワイト。


今ではお気に入りだ。


携帯を開き凪ちゃんの番号を探す。


すると突然視界から携帯が消えた。


「何してんの?」


私の携帯を取り上げたのは愁だった。


背後から現れた愁は不機嫌そのものだった。


「凪ちゃんに…電話しようと思って…」


私は振り返って愁の手から携帯を奪い返した。


「ふ~ん…」


愁は私を冷たく見下ろす。


愁…怒ってる…?


いくら鈍感な私にもそれくらいわかる。


今までの怒り方とはわけが違う。


本当に怒ってる…。


「大原には何でも言うのに俺には言わないんだ?」


「……っ!!」


愁の言葉が胸に突き刺さる。


顔がまともに見られない。


今の愁はまさしく氷の様に冷たかった。

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