らっく!!
「なあ、俺達も気が長いほうじゃない。3日だ。3日待ってやる。持ってこないと…」
「やめてっ!!お願い…それだけは…っ!!」
私は白石に食い下がって必死になって懇願した。
ふぅっと白石が吐き出す白い煙が私の顔にあたる。
「ケホッ!!ゴホッ!!」
元々タバコに免疫のない私はせき込んで胸を押さえた。
「役に立たない人間はいらないからな…」
そう言うと白石は渡と中村に顎で合図をし、薄く笑いながら白石達は資料室から出ていった。
逃げられない―…。
直感がそう囁く。
きっと一度データを渡せば味をしめて何度も脅してくるに決まっている。
渡したデータがどう使われるのかはわからない。
でも紘一さんの不利益になることは間違いない。
その結論に達した今、私に出来ることはひとつしかない。
もう…やめてしまおう…。
離れてしまえば全て解決する…。
どうすることもできない。
私には紘一さんに迷惑をかけずにこの状況を抜け出す上手い考えなんて思いつかない…。
大丈夫…。
戻れる…よね…?
自分自身に問いかける。
もともと私は独りになるはずだった。
それが少し延びただけのこと―…。
夢が…覚めただけ―…。
夕焼けはいつの間にか暗闇に変わっていた。
ひとり残された資料室から立ち去る。
私の心は既に決まっていた。