Bar GRANT
NAOは涙目になっていた。
最後の挨拶で感極まって泣いた、あのときとはまったく質の違う涙だった。
「バンドを照らすスポットライトは、俺のため、MEGUのため、SOTAのためにあったんだ…!」
そこに俺の名前はなく、代わりに、これまでNAOがひた隠しにしてきた俺への恨みが込められているのを感じた。
「もう我慢の限界だ。悪いけど、お前と一緒にはやれないよ」
打ち上げに集まった人々の視線が、俺たちに集中している。
その中で…―
呑気にビールを飲む窪田さんが遠くに見えた。