愛しの black panther
───…
──…
溜まり場に着いたあたし達は、いつもの部屋へ向かった。
でも部屋に入ったのは豪とあたしだけ。
「…えっみんな?」
「少し2人にしてくれって頼んだから…」
「そう…」
愛用のソファーにドカッと腰を下ろし、あたしに視線を向ける。
「来いよあやめ」
「うん」
あたしは、近づいて豪の隣に腰を下ろした。
目を瞑り「ふぅーっ」と、大きく息を吐き出した豪。
やはり怒っているのだろうか…沈黙が怖くてあたしは思わず謝っていた。
「ごめんなさい…勝手なことして」
俯きギュッとスカートを握り締めたあたしの手に、大きくて温かい豪の手がかさなる。
「お前までいなくなったら…俺は…」
あたしだけじゃない…豪だって大切な人を失ったのは同じなんだ。