愛しの black panther

───…
──…


溜まり場に着いたあたし達は、いつもの部屋へ向かった。



でも部屋に入ったのは豪とあたしだけ。



「…えっみんな?」



「少し2人にしてくれって頼んだから…」



「そう…」



愛用のソファーにドカッと腰を下ろし、あたしに視線を向ける。



「来いよあやめ」



「うん」



あたしは、近づいて豪の隣に腰を下ろした。



目を瞑り「ふぅーっ」と、大きく息を吐き出した豪。



やはり怒っているのだろうか…沈黙が怖くてあたしは思わず謝っていた。



「ごめんなさい…勝手なことして」



俯きギュッとスカートを握り締めたあたしの手に、大きくて温かい豪の手がかさなる。



「お前までいなくなったら…俺は…」



あたしだけじゃない…豪だって大切な人を失ったのは同じなんだ。
< 120 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop