愛しの black panther

「そうか…」



「…豪のお母さんがあたしの今のママなのも…」



あたしの言葉に、抱きしめる腕に少し力が入るのが解った。



「親父とお袋が離婚した時…一旦は俺もお袋と家を出たんだ…でも…親父に連れ戻された跡取りとして…なんで俺なんだ…仁じゃねぇんだって思った…」



あたしは無言で、豪の腕をそっと撫でる。



「でもそれを親父に言ったところで何も変わりはしなかった…あいつは冷たい瞳を向けただけだったよ」



「豪」



「俺は親父に反抗するように荒れ狂った…そのせいであいつら…葵や龍也にも悪いことしちまったって…今は思ってる」



少しの沈黙の後また口を開いた豪。



「何時だったか仁が俺に言ったんだ…″大事なヤツができた守りたいんだ″ってな」



「仁兄…」



「…正直…あの時はイラついた…荒れ狂った俺とアイツを比べてな…」
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