ビタミンC

笑う度に彼女の黒髪が揺れる。

「…この本買おうかなぁ」
とつぶやく彼女の横顔を見ながら

どれ?と聞くと、これと難しそうな顔をしながら指差した。

それは長編小説で、一巻だけで平均的な文庫本の幅の約2倍はある。

「あぁ、それか」

「高梨くんは読んだことあんの?」

「いや…、ない」


そっかーと言って、また難しそうな顔をする。



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