<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 なぜ、そんな海翔を好きになったのか。

 分からない。

 でも、なんだか今は憎しみのほうが強い。
 恋する気持ちより強い。

 海翔は憎い。海翔は憎い。海翔は憎い・・・。

 呪文のように永遠と、桜の頭の中で繰り返される。


 
 さっき目が合った時の、あの厳しい目つき。
 それを引きずっているのか。

 よく分からないけど、とにかく桜の頭の中は海翔一色。

 名前呼ばれた時も、合唱しているときも、あまり記憶がない。

 あっという間に、卒業式が終わった。

 無意識に起立する。

 卒業生退場の時も、海翔と目が合った。

 この時の目つきもなんか怖かった。




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