17歳の不良と6歳の殺し屋

腹をくくれ

夕闇の中、雫は呆然と外を眺めていた。
嵐のように現れ嵐のように去る。彼ら。

唖然とする雫だが、心臓の音はバクバクと隠しようがない程に高鳴っている。
すると、そんな思考を許さないとでも言うように下から貫くような声が響いた。
「しずくーー!!?しずくぅううううっ!!」
とんでもない、かなきり声。絶叫に近いこの声の主はもちろん、雫の母だ。

「母さん…今行くよ」

恐らく、本人には聞こえていないだろう返事をして、未だに叫び散らす母の元へ向った。



雫の通う学校で一番偉い人。
唯一愛をくれた叔父の友人。その人が色々と手を回してくれているので、雫が少しくらい学校を休もうが問題は無いわけなのだが…流石に三週間は不味い。
母の世話という理由は向こうもよくわかっている。
担任とその人がお見舞いに雫の家を訪れたからだ。
担任は雫が母の世話をしていた事に酷く驚いた様子だった。
そんな姿を偉い知り合いはニコニコと実に気持ちよさそうに見ていた。
雫の問題児ぶりを周りに責められ続けた結果なのだろうか?
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