イケメンゴースト


「なんか話あんだろ?」

「うん。」

夏には全てお見通し。

嘘つくことなんか
できっこないんだ。

「私の質問に答えられる?」
「聞いてみないとわかんないよ」

笑いながら
私の頭をクシャクシャと
撫でる夏の骨ばった手。

その手を両手で
包み込むように握る。


「…ん。 わかった。
答えるよ」


私の深刻さに気付いたのか、
夏は答える。


「…夏。…なんで学校で
誰とも話さなく
なっちゃったの?」

「なんでだろーな。
…女子達ってさ
俺の容姿しか見てないじゃん。
それで
廊下とか歩くと見られたり、
告られたり…。
それで男子からは
“いい気になってんじゃねーよ”
とか言われたり…。

そんでさ
いちいちそういうことに
答えないといけない
ってのが
めんどくさくなったんだよね…
だから喋んなくなった。」


夏は
窓の外を見ながら話す 

「そうなんだ…」

「あぁ」

「夏は生きてる意味
ちゃんとあるよ。
夏は毎日つまんなくても
周りの人は
夏がいてくれるだけで
心が温かくなってると
思うよ。」


私は
何年も前の
あの質問の答えを出した。

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