イケメンゴースト


ひとしきり泣いたあと
夏は私にキスしてくれた

「……愛してる」

「うん」


愛してるなんて
まだ幼い私達には
早すぎるかもしれないけど、 

とっておきの
1番欲しい言葉をくれた。


「よし。
もぅ暗くなっちゃうし
始めよっか。」

「うん」

グラウンドはもぅ
夕焼け色に染まっていた。

「ねぇ、夏。
…夏はさ
なんでこの係になったの?」

「んー。こういうのってさ、
皆嫌がるだろ?
だからかなぁ。
…あ!あと
動物が好きだから…」

最後のほうを
照れくさそうに
小声で言う夏。

「そうなんだ。今日さ
夏の家、行きたい」

「どうしたの?急に。」

「ううん。別に…」


本当はね
本当は“別に”なんて
軽い意味を込めて
言ったつもりはないんだ。

夏は
1人で抱え込んじゃうから、
少しでも支えになって
あげたかったんだ。

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