ココとマシロ
ココの期待に満ちた瞳は、誰が見ても分かるぐらいすぐに疑問を抱いたものへと変わる。
そうなるだろうなぁと、直哉はすでに予想していたため、特に驚きはしなかった。
「なんで?なんでマシロに頼めば見つかるの?」
「だってマシロは鬼だろ?鬼は人間とは違う力を持ってんから、探し物なんかも得意なわけ」
「?、あ、そういえばマシロ、無くしたものもすぐ見つけてくれる……すごいねマキ君、鬼の事すごく知ってるんだね!」
しかしそこで、ココはようやく本来持つべき疑問を抱いた。
「…あれ?マキ君なんで知ってるの?もしかしてやっぱり、マキ君にも見えてるんじゃ――、」
「まぁ、んな事いいからさ。マシロは?マシロって今すぐ呼べんの?」
話をわざと遮った直哉の問いで、「あ、うん。来てくれると思うよ」なんて、ココの思考は別の方へと移される。
そして、言われるがままに「マシロ」と呟いたココの目の前に、音も無く現れたマシロ。それは全ては直哉の思惑通りだった。