ココとマシロ





ーー気がつくと、ココはベッドの上に居た。見慣れた室内に、ここは自分の部屋だと気づく。


「っ⁈ マシロっ‼」


その名前と共に飛び起きたココは辺りを見渡して見るがーー、いつも居るはずの姿が、そこには無い。


「マシロ…?ねぇ、マシロってば」


何も無い空間に声をかけても返ってくるはずがない。そこにマシロは居ない。


「ーーっ」


涙がこみ上げて来た。分かってる。もう居ないんだ。ここに居ない。マシロはここに居ない。ーーでもっ!


「泣かないっ、泣かないよ!もう泣かない!」


泣かないで、きっとマシロはそう言うから。ここで泣いたらマシロはきっとまた困ったように笑うんだ。

ココだって、マシロに笑っていて欲しい。マシロの願いを、ココだって叶えてあげたい。そう思ってる。ずっとそう思ってる。ココだってーーわたしだって!


「ありがとうーーマシロ」


すると、その場に鳴り響く玄関のチャイムの音。きっとナオヤだ。なぜかココには分かった。

ココは立ち上がり、部屋を出る。


マシローー、
大好きなわたしのマシロ。

わたし、頑張るよ。
いつかまたあなたに会えた時、あなたに喜んで貰えるように。


そしてもう一度、ありがとうと呟くと、ココは階段を降りた。




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