彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった
「じゃあ、ちょっと出かけてくるね。」
家で、早めの夕飯を
久しぶりに家族全員そろって食べて
あたしは家を出る。
日が沈んでからじゃないと、さすがに祐輔は外に出られないから。
懐かしい道を歩きながら
たどり着く場所は
思い出の場所。
忘れるはずもない、初めてキスをした
あたし達が、昔から遊んできた公園。
遊具は、古くなってたからか、あの頃のものは残ってなくて
すべて新しくなってる。
はえっぱなしだった木々は
もうなくなっていて。
小学生の時にあたしたちが作った、秘密基地と呼んでいた場所は
跡形もなく消えてる。
「そりゃーそーだよね。」
そうつぶやいて、もう誰もいない公園の、ブランコに座ってみる。
ブランコの位置だけは、変わってなくて、
そっから月が、きれーに見えた。
「懐かしい。」