あんな。めっちゃ、だいすきです。




「家の中写メってみて」

「そ……それは、ちょっと…」

「口ごたえなしっ!ええからこのあとすぐ写メを提出しなさい。10秒以内っ!ええな!?」

「………ハイ…」



めっちゃ心細げな返事が聞こえてすぐ、電話を切った。


電話の相手はおとうさん。

なりたてホヤッホヤの1年生。


なんの?…って、ひとり暮らしの1年生ってことや。



おとうさんは、1週間前から実家でひとり暮らしをはじめたばっかりやねん。



…1週間前に、おかあさんが入院したから。


とりあえず検査からで、本格的な治療は入院してすぐ始まるわけやないらしいねんけどな。


入院準備とか手続きとか、おとうさんひとりで全部せなあかんかって…めっちゃ忙しかったと思うねん。



でも。




『おかあさん、無事入院完了しました。あと、詩琴も決まるかもしれんです。』




…おとうさんから送られてきた絵文字もなんもないメールに安心して。


ちょっとあきれて、ちょっと笑った。



…詩琴って。仕事、のことやろ。



どう変換したらこんな組み合わせの字出てくるんよ、おとうさん。



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