プロトコイル
第二章~
夢を見た、深い深い夢、誰かが、呟く
『スガシカオはスマシガオ…スガシカオはスマシガオ…』
はっと目を覚ます。俺は眠っていたのか、なぜ

辺りを見渡す。ドラム缶、鎖、段ボール、
一目で俺はヤツラにつかまってしまったらしい事を認識させる品々
あまりの王道っぷりにやりすぎではと、素人ながら思うわけ。

自分の体を見てみると、両手足が縛られている。
縛っている部分が、蒸れないように少し緩めだ。
その細かい気遣いには正直感心する。

そして徐々に、どうしてここに居るのかを思い出す。
田中を探していた事、バスに酔った事、池田に打ちのめされた事、

次の瞬間はっとする。家のガスの元栓は締めたのか鍵は閉めたのか
全く記憶に無い。

「だいたい心配になるときは、ちゃんとやってるもんさ。」
不安をかき消そうと当社比1.5倍の声で独り言。
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