美男子症候群!?

その時、ふとある人の顔を思い出した。



いままですっかり忘れていて、思い出すこともなくなっていた人。


でも昔はよく遊んでもらって、話を聞いてもらって、なぐさめてもらって。


とってもお世話になった人。



その人はペン回しが得意で、あたしに教え込んでくれて。



それから確か重度のファザコンで。



そして誕生日が、イイニクの日だった。




思い出した。



思い出したけど、その人は久木先生じゃない。




「思い出してくれた?」



「いえ……その、思い出した人はいるんですけど。それは久木先生じゃなくて、別の人で」



「うん。たぶんそれが、俺だよ」



「……はい?」




どういうこと?


たぶんそれが俺って、ちがうって言ってるのに。



だってあたしが思い出した人とは、顔もちがうし名前もちがう。



ますます混乱するあたしの前で、先生は右手で顔を覆った。




「じゃあ、最後のヒント」

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