インプラント
人は心に余裕がなくなると

自然と速足になっていく。




男は心拍が上がるにつれて

駆け出すかの如く速足になっていった。




再びシャッターの前。

沙希が消えてしまった場所だ。




スプレーで書きなぐられた落書きを見上げる。




複雑な文様の落書きは禍々しく

そして男にはどこか寂しげに感じられた。




「沙希の気持ちか…」




男はぽつりとつぶやいた。

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