♂ vs ♀ ~男女寮戦争~《完》【続編完結】
「泣かないで、美月」

萌の胸で必死に涙をこらえるあたし。

でも萌の声を聞いてると、涙がこぼれてくる。



「あっ…」

ガシャンと扉が開く音に、萌の動きが止まる。

顔を上げて、扉のほうへ振り返る萌。

あたしも、そっちに視線を向けた。



「瀬戸内…」

一瞬、あいつとまっすぐ目が合った。

あたしは慌てて目をそらす。



「瀬戸内くん」

「もう先生来てるぞ」

「うん…」

あたしと瀬戸内を交互に見ながら、小さくうなずく萌。



「あたしは大丈夫だよ。萌は戻りな」

「うん…」

こんな顔じゃ教室に戻れない。

あたしは、あいつに背を向けて言った。
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