♂ vs ♀ ~男女寮戦争~《完》【続編完結】
「邪魔しないでくれる?」

まっすぐ向き合う瀬戸内と彩木。

その気迫に押されて、あたしはただ二人を見ているだけだ。

「牧村さんは、俺と一緒に来てくれたんだから…

ねぇ、牧村さん」

瀬戸内の鋭い視線が、あたしに突き刺さる。

あたしに言いたいことがあるんだったら、はっきり言ってほしい。

瀬戸内は、その目をあたしから彩木に向けた。



「行くよ、牧村さん」

瀬戸内の視線を振り切って、彩木はあたしの手を引く。

「ちょ…」

強引に引っ張られるまま、彩木についていくあたし。



「牧村」

久しぶりに、その声で呼ばれた気がする。

あたしは、瀬戸内の姿を探して振り返った。
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