♂ vs ♀ ~男女寮戦争~《完》【続編完結】
「あんたは懐中電灯持ってるけど、あたしは持ってないから見えないの!」

瀬戸内の右手から、懐中電灯を取り上げる。

今度は、あたしが地面を照らしながら先頭を歩いた。



「何怒ってんだよ…」

「あんたなんか知らない」

あんなやつのことは気にせず、前だけを見てズンズン歩くあたし。

気持ちが治まるまで、ひたすら歩き続けた。



「あれ…?」

さっきまで、背中に感じていた気配がなくなった。

立ち止まると、懐中電灯で後ろを照らす。



「瀬戸内、どこ…?」

大きめな声で呼んだけど、返事がない。

もしかして、本気でハグれちゃった…?
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