三日月ロマンチカ 【短編】
◆好き?んなわけあるかよ!




星が降ってきそうな夜、とはよく言ったもんだ。





この都会にいると普通は巡り会えない夜だけどな。




なんたっておれは毎晩毎晩、飽きもせず空を見上げてたんだ。




そこら辺でのうのうと生きてる奴等よりは多分、夜の暗さも闇の怖さも知ってるぜ。





あん?



“見上げてた”って過去形なのはなんでかって?




おお、おまえ鋭いな!


よく気付いた、おれ様が褒めてやるぜ!!





…以前のおれには帰る場所なんてなかったんだ。




たった今死んでも文句はねぇ。


…ってくらい、生に執着はなかったし。




その日暮らし―――イマドキの言葉で言うなら、ホームレスってやつだな。




そんなおれは今、2人暮らしをしている。




女と、だ。






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