三日月ロマンチカ 【短編】




半年前―――――





「…っ、さみぃな……」



2月。


冬と呼ぶには少し遅く、春と呼ぶにはまだまだ遠い。


おれはいつもの公園に向かい、なにをするわけでもなくベンチに腰を下ろした。



「(……あー…腹減ったな…)」



ぎゅるぎゅると鳴る腸の動きを感じながら、身体を寝かせた。


背中に当たるベンチが、ひんやりと冷たい。



「(…空腹で死ねる…)」



あいにく今日は、飯にありつけなかった。


昨日はたらふく食ったから、その反動か?


なんてな。


喉の奥で小さく笑い、ごろんと寝返りを打つ。



「(寝るとこもねぇしなぁ…)」



昨日はコナツの家。


一昨日はユキの家。


その前はナオの家。



前の前は……誰だっけ?



親しい女の家に転がり込んで、寝床を貸してもらう。


そんな生活を続けてきたけど、今日は連休だ。


訪ねてみたが、最悪なことにどこも旅行に行っていた。



もう少し遠くまで行けばマリナの家があるが、腹が減ってとても動く気にはなれなかった。




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