A Time Limit
Limit3.ナチ




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……夢の中で聞こえた。






『え、まじで?!』







大きな驚嘆の声。









『ナチ、それ本当?
私タケル好きだったのに…』








タケル……
私に一目惚れしたとかほざいてたあいつか。
タケルとはあまり良い思い出がなかったな。







夢の中で私がしんみりしていると存在感のある低めの、それでいてよく聞こえる声が言った。








『その現場直視しちゃったからもう俺、どう生きてけばいいかわっかんねぇよ。
タケルは友達だと思ってたのに杏里ちゃん狙いだったのか……』







『嘘っナチも横澤さん好きだったの?!』







『そ……んなわけねぇよ♪』





『本当にぃ?
…じゃぁなんでそんな悲しい顔してるの?』





聞いてる女の子の声も切ない表情をしてるって、見えなくてもわかる声だ。
多分、このナチって人を好きなんだと思う。








『俺は…………友達だったのに言ってくれなかったタケルがヤなの』







―はぁ。





ナチって人のため息。
すると同時に心の声も聞こえた。







(でも俺、本当は………………………………)






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