鳥籠の姫

「そろそろ帰らないと門限が……」

「なら、家まで送るよ?」


そう優しく声をかけてくれた。

まだまだ喋りたかった私には

とても嬉しい提案だった。


「でも悪いから、一人でいいよ?」

こうやって一度は遠慮する。


「女の子を一人で帰すとかできひん。」


「じゃあ、お願いします。」


最初から送ってもらう気でいる。

このやりとりって暗黙のルールだよね?


なんてぼーっと考えていた。



家までの道はあっという間で

結局メールアドレスを聞けなかった。


そうやって落ち込んでいる私に


「アドレス教えて?」


って笑顔で聞いてくる。

完璧な人だと思わずにいられなかった。



アドレスと番号を交換して

その日は別れた。


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