あの日のキスを、きみに。
*02:二回目のキス

「ねぇ、ちゅーして。」


私の部屋にある、ピンク色の可愛いソファーの上。

彼と並んで腰掛け、唐突にそう言い放ってみれば、彼は呆れたように私へと視線を向ける。


「……何、言ってんの?」

「そのままの意味じゃん。
ねぇ、ちゅーして。」


私が欲求不満とか、別にそういう訳じゃないけれど。夕陽が差し込む部屋、ただこうやってほのぼのしてるのもつまらないじゃない。

彼の方を向き目を閉じれば、微かなため息が聞こえた後、柔らかな感触が唇へと重ねられた。

……まぁ、ほんの一瞬だったけれど。


「……もう終わり?」

「それ以上、何をしろっていうんだよ。」


まったく、どうしてこうも照れ屋なんだろう。ベタベタくっついてくる男は嫌いだけど、これはこれで物足りない。


「じゃあ、もう一回して?」

「……は?もう無理。」


無理って……。酷いなあ。
ぷいと顔を背けた彼に、思わずため息が零れる。


「ねえ。」

「……」


呼びかけても、反応はナシ。
でもまぁ、耳が真っ赤になっているのが見えるから、今はそんな態度も許してあげる。

――けどね?


「ねえってば。」

「……、何だ、よ、」


ようやく私の方へ振り向いてくれた彼の顔を掴み、今度は私から彼へとキスを落とした。





  二回目のキス


  ( 私のこと、 )
  ( 好きなら態度で示してよ )
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