たからもの

「おはよ！隆人くん、柚葉くん」

「あ。内田さん、おはよう」

「はよー」


今日香も柚葉とは同じクラスになった事はないはずだ。
なのにやけに親しい。

彼女の顔の広さには毎度驚かされる。


「有原さんも。おはよう」
「おはようございます…」


翼は隆人から目を逸らしてあいさつした。
そうでもしないと息苦しかった。

もしかして私、今、変な顔してるかもしれない。


これほど自分の顔を鏡で確認したいと思った事はなかった。


「なぁに？隆人の知り合い？」

少し首を傾げるようにして柚葉が尋ねた。
今時の高校生にしては珍しい（しかもここの高校は校則が緩いから）、黒髪に短髪の顔がこちらを見てくる。


その横には茶髪でアシメの髪型をした隆人がいて、自分は何て贅沢なんだろう、と思った。
長くない髪がいい。