通りすがりのイケメンさん

いつまでたっても体に衝撃が来ない。

ゆっくりと、目を開ける。


え―――?

「っぶねー」

「・・・へ?」

「だから走るなっつっただろーが」


そこには右手で手すりを掴んで

左手であたしの腕を掴む神崎優輔の姿が。

その顔には焦りの表情が出ていた。


「キツいんだけど、自分で立て」


話しかけられて我に返る。


「あ、あぁ・・・ごめん」

階段に足をつくと、左腕の圧力がなくなった。

それまでも、寂しいと瞬時に思ってしまった。


「大丈夫か?」


真剣な眼差しが向けられる。


「・・・うん」

「急がなくていいから、確実に上って来い」

「・・・うん」


カンカンカン、と、ヒールの音が響く。

上ると、もう部屋のドアは開いていて。

神崎優輔はこちらを見て、

あたしが来るのを待ってくれていた。


「早く来い!!!寒ぃ!!!」

「あ、うん!!!」


駆け出そうとするあたしにあわてて、


「ああ走るな!!!」


そう叫ぶ神崎優輔。
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