ありがちな青春物語
「すいませんね〜
さすがに他校の俺らが入ったら怒られると思ってさ。」
「はぁ。そうだったんですか。」
あんまりこういうチャラい男とは関わりたくない。
さっさと部活に戻ろう。開始まであと10分くらいだ。
聡美ももう更衣室に戻ってるはずだ。
「あ、じゃあ、部活があるんで。さよなら。」
そう言って別れようと思った。
「ねーねー
君、ちょーかわいいじゃん。
名前、何ていうの?」
「は?」
この人、何考えてんの?
「由美香です。
斉藤由美香です。」
一応、答えた。
だってもう2度と会うことはないし。
「由美香ちゃんっ?
名前もかわいーっ」
「はぁ…
「メアド教えてっ」
「いや、今ケータイ更衣室なので…」
この人…ウザ。
初対面でいきなりそうくるの?
「おい、涼(りょう)そろそろ行くぞ。」
「えー、海(かい)ーもうちょっとだけー」
「ダメだ。
つーか、ふつーにこの子、嫌がってるだろ?」
このチャラ男、涼っていうんだ。別にどうでもいいけど。
海って人は涼って人と全然違う。髪型はワックスつけてるけど、少したってるくらいで学ランは第三ボタンまで開いてるのに清潔感がある。