EGOISTE
ぷ
女が吹き出して、
「愛~?」
と茶化した。
「先生ってもっと遊んでるかと思ったけど、意外にロマンチストなんだね」
俺は唇を結んだ。
奥で横たわっている鬼頭にもこの会話は聞こえるだろう。
あいつは……この女と同年代だけど、その意味も愛するという意味もちゃんと知ってる。
その上で水月を求めてる。
水月も同じ。
それが愛し合う二人の理想の形だ。
「どうとでも言え。相手のことを思って、大事にして、その人の身も心も欲しくなって、それでもって相手も同じ思いを抱いてくれたときに初めて結ばれるもんだ」
俺には今までかりそめの恋人が何人かいた。
ベッドをともにするだけの関係。
だけど体が繋がっても何が残る?
愛することの意味を、気持ちを知らなかったら、女を抱いてもただ虚しいだけだ。
体は満たされるかもしれないけど、心は……
もっと寂しくなる。