EGOISTE


ただごとじゃない何かが歌南に起こってる。


そう思った。


俺も同じように顔色を変えて、ベッドから降りた。


「水月……歌南は……?」


「いや、連絡はつかなかった」


「じゃ、何で…」


お前…普通じゃない。その言葉は飲み込まれた。


「姉さんに連絡つかないから、実家の方には何か連絡行ってるかもと思って連絡したんだ、実家に。


そしたら……向こうも姉さんと連絡がつかないって、慌てて…」


水月は気弱そうに言葉を紡ぐと、俺の両腕を握ってきた。


言葉とは反対に、その力は強いものだった。


「………まこ」


今にも泣き出しそうに水月は眉を寄せていた。


掛けるべく言葉も見つからず、俺は水月の次の言葉を待った。


数秒の沈黙が病室に流れ、押しつぶされそうな重圧のなかやがて水月は静かに口を開いた。





「僕は知らなかった。




姉さんの旦那さんは二ヶ月前に





亡くなってるらしいんだ」






< 281 / 355 >

この作品をシェア

pagetop