EGOISTE

「おぅ」


俺は短く返事を返した。


そこでようやく鬼頭は意識がはっきりしたのか、ちょっと顔をしかめて俺を押しのけた。


「いつまでこうしてるつもり?」


「へ?あ、わりぃ」


俺は何とか腕を鬼頭から引き抜くと、仰向けになった。


白い天井。ここは水月のベッドの上だ。


ベッド……


意識すると同時に俺はがばっと起き上がった。


「鬼頭……俺、お前に何かした?」


恐る恐る聞いてみる。


メガネのない視界で鬼頭の顔がぼんやりとしてる。だがその表情が奇妙に歪んだのは分かった。


「はぁ?何かってなに?酔っ払ってリビングで寝ちゃったあんたを運ぶの大変だったんだよ」


あんたって、お前年上の、それも保健室の先生に向かってそれはないだろう。


と言いたかったけど、やめた。


今の俺にはこいつと口喧嘩ができるほどの体力も気力もねぇ。


「てか水月は?あいつ、何やってるんだよ。お前をほったらかして」


「水月はお姉さんが帰国するとかで、空港に迎えに行ったよ」




ああ。



そっか、今日だっけね……









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