EGOISTE


―――


さすがに千夏の勤める大学病院はでかい。


「林内科クリニック」なんて比べたら可哀想になるぐらいだ。


俺は従業員出入り口の付近に車を止めて千夏が出てくるのを待った。


千夏を出待ちしたのはこれが始めてではない。


何度も迎えに来たから、こっちも要領を得ている。




「お疲れ様~」


15分ほど経ったところで、女の集団がかたまりになって出てきた。


「おつかれさま」


その中に千夏の姿を見つけた。


淡いピンクのコットンワンピ。足元は白いサンダルだ。


歌南とは180°違う格好。


清楚でお嬢様然とした雰囲気が好きだ。





「千夏」



俺は女子の群れに向かって手を上げた。


俺の声に千夏はすぐに顔をあげ、びっくりしたように目を開いていた。




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