EGOISTE

「…今だけだ」


「そ」


鬼頭はそっけなく言うと、俺と同じように体を仰向けにさせた。




今度は俺が鬼頭の方に体を向ける。


鬼頭は俺の方を見なかった。


ただ白い天井をじっと見つめている。


「なぁ、お前らでも喧嘩とかする?」


「喧嘩?するよ。って言ってもいつもあたしが勝つけどね」


だろうな。


こいつは色んな意味で強そうだ。


しかし、水月が怒るなんて想像できない。





俺と違ってあいつは優しいから。



まぁ歌南に対しては例外だけど。


「千夏さんとは仲直りできた?」


ふいに鬼頭が口を開いた。


「まだ」


仲直りしようにも、あいつが何で怒ってるのかすら今の俺にはわかんねぇ。



「どうしたら機嫌直ると思う?」


鬼頭の横顔がこちらを向いた。


「そんなことあたしに分かるわけないよ」


「それもそうだな」


って言って、俺は気付いた。


いつもきれいな鬼頭の唇が若干荒れている。


こんな間近で見る機会なんてあんまりないから、特にはっきりと分かった。






< 43 / 355 >

この作品をシェア

pagetop