EGOISTE



「捨てられ人生」


高田さんはちょっとびっくりしたように目をまばたいた。


「高校のときから5年間付き合ってた彼女は、ある日突然俺より10も年上のおっさんと結婚するっていってきたし、


大学4年のとき付き合ってた彼女には“なんかつまんない”て良く分からない理由で振られるし…」


言ってて虚しくなった。


「あらぁ」


高田さんはここでちょっと苦い顔をした。


飛びぬけて美人というわけでもないけど、その表情はしっくりと彼女によく合っていた。


作り物じゃない、本物の心からの表情。そんな感じがしたんだ。


俺はこういう反応を待ってたのかもしれない。


同情でもない、偽者の感情でもない、心からの反応を。


「ねぇ、女の人が元彼に会いに来るってどんなとき?」


俺はまたもストレートに聞いてみた。


「え?元彼……」


高田さんはちょっと考え込むように小首をかしげたが、


「お待たせいたしましたぁ。ランチです」


という店の女の子の声で、視線が外れた。




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