EGOISTE

「雅はぁ」


楠がちょっと考えるように首を傾げた。


「イルカじゃない?イルカはすごく頭がいいんだよ」


水月がふわふわと言った。


「そんな感じだね」楠も同意する。


「まこはどう思う?」






俺はテーブルに肘をついて頬杖をつくと、鬼頭をじっと見た。




「……アロワナ」




俺の言葉に水月と楠が同じタイミングで俺の顔を見る。


「アロワナって熱帯魚の?あの大きい?」


最初に口を開いたのは楠だった。


「そ。あのアロワナ」


「何でも食らいつく肉食って言いたいの?」


鬼頭はパエリアを口に運びながら淡々と言った。


別段俺の言葉に気を悪くした様子はないようだ。


「肉食?」


水月が首を傾げる。


「アロワナは肉食で小型魚を丸呑みするんだよ」鬼頭がちょっと水月を見た。


その表情はあくまで冷静で、頬の筋肉がぴくりとも動かない。


「そうなの?何かきれいなイメージあったけど」


楠がさも心外だと言わんばかりに、唇を曲げた。



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