初恋

それからというもの、俺は学校から帰れば紗羅ちゃんと遊んであげていた。

小さい子が好きっていうのもあったし、妹が出来た感じで

紗羅ちゃんも俺を「総司お兄ちゃん」と呼んでくれていてそれがすごく嬉しく感じたんだ。

見た目はどこにでも居るような女の子だったけど

笑顔だけはどんな子よりも可愛くて、嫌なことがあってもその笑顔に癒されていた。

大きくなった紗羅ちゃんを見てみたい。

なんて本当に兄貴みたいなこともたまに考えた。

けど、紗羅ちゃんはそれから半年後に引っ越してしまった。

そして十年後、俺はまた紗羅ちゃんと会うことが出来る。

そう思って嬉しくなったが今はあの時と違う。

俺は教師で紗羅ちゃんは生徒。

紗羅ちゃんだなんて呼ぶわけにもいかない。

「昔のことは紗羅ちゃん…じゃなくて桜井さんが気付くまで言わないようにするか」

そう呟き、資料のファイルを閉じた。


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