普通が好き。
普通に一遍の兆し

私は今日も、花の世話に来ていた。
水やりは、朝と放課後の二回にしているから。

受験生だし、あまり時間は無いんだけど、彼等を世話する人なんて…私くらいだから。

私は咲き乱れる花々を見ながら、自然と緩む口元に気付くことは無かった。

しばらく水やりを続けていると、花壇に一枚の紙が落ちてきた。

「?……テスト?」

三十八点と書かれたテストが降ってきたのだ。

名前の欄には『獅霸 篁』と書かれている。しし…しし…何?
難しすぎて、読めない…

「おーいっそこの女の子ーっ」

「?!」

頭上から声が聞こえたので、とっさに上を向いた。

「…あ……君!!そう、俺のテスト!!今から下行くよ」

あまり見えなかったが、声と言葉は理解出来た。
取りに来てくれるのか。
先生のところに渡しに行かないといけないと思ってたから、ラッキーだったな。



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