気まぐれ社長の犬

「響城ー入るよ」



扉を開けると中には男が1人、ソファーに座っていた。



「いきなり何だよ。つーか後ろのやつ誰?」



あたしを見たその男の顔は風間さんと少し似ている。
しかも整っていてかっこいい。


でもこれが社長…?

茶色の髪にピアスの付いた耳。
次期社長って感じには見えない。



「これが息子の風間響城(カザマヒビキ)だよ。で、こちらは花月妃和ちゃん。お前の婚約者で、社長就任まではボディーガードをしてもらう」


「はぁ!?何だよそれ。聞いてねーし!!」


「だって、言ったら嫌って言うだろ?」


「当たり前だろ!!何で勝手に結婚相手決められて、しかもその女に守られなきゃいけねーんだよ」


「だってお前もう24だぞ?そろそろ結婚してほしいし社長就任まで、狙ってくるやつがいっぱいいるだろ。だから心配なんだよ」


「だからって普通婚約者とボディーガードを同じやつにするか!?」


「だって妃和ちゃん強いから」


「は!?俺よりも強いのかよ?」


「さーどうだろ?」


「ふざけんな。俺絶対嫌だから」



そう言うと響城さんは立ち上がって部屋から出ようとした。



「ちょっと待ってください」



私は横を通りすぎようとする響城さんの腕を掴んだ。



「あ"?」



顔を上げると、私を睨み付ける目が視界に入る。

でもこんなの全然恐くない。



「諦めてください。確かにあなたは強いかもしれない。でも少々頭が弱いんですから仕方ないでしょう?」


「あ、頭!?」


「社長になるために必要なことは勉強したのかもしれませんが普通の勉強は中1レベル。しかも敵と戦う時は避けるんじゃなく潰す。そんなんじゃお父様が心配して当たり前です。どうせその手の怪我もそうなのでしょう?」



響城さんは驚いたような顔をして手を隠した。



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