【完】甘い恋よりもそばにいて
静寂が俺らを包むなかで
俺は静かにゆっくりと話し始めた。
「君の隣の子…」
なぜかドラマチックに妙な間を開けてしまう。
確かに、
この状況は十分過ぎるくらい
ドラマチックだけど。
「秋本由奈って言うんだ…ってそれくらい知ってるか。もっとストレートに言うよ…その子が俺の婚約者だ…」
こんな展開、
なにひとつ望んでいない。
こうなることを一番に恐れていた気がするよ。
だけど
こうなった以上は色んな言葉を巧みに使って
君に最低なことを言わなければならない。
「あと、この間の夜のこと無かったことにしておいて。その方が都合がいいだろ?君も俺も。結婚式の招待状早めに送るからちゃんと来いよな…?」
我ながら自分の演技力に拍手を送りたいね…。
胸の痛みを押し殺して
震える声を無理やり心にしまい込んだ。
不安の溢れた声に君が気づいて
変に勘繰らないことを願ってる。