【完】甘い恋よりもそばにいて
2人で車を降りて、歩き出す
途中、あたしが止まって深く、深く……深呼吸したの。
そしたら波羅が
「大丈夫……?」
って聞いてきた、だから軽く……
「大丈夫だよ……心配しすぎてるんだから…もう」
って返した。
本当はそんなことこれっぽっちも思ってないくせに、よく言えたものよね。
あたしって……。
柄にもなく心臓が大きく飛び跳ねているのを感じる。
この場所を……もう一歩だって動きたくはないの……
こんな心なんて邪魔なだけなの……
彼を思うだけでこんなにも胸が締め付けられて、痛むような心に用はないの。
なのに……
忘れたはずの感情が
【彼と会う】
たったそれだけで……
今まで築き上げてきたものがすべて崩れ落ちていくのを感じる。
記憶の片隅にしまっておいたはずなのに
しまっておいた……はずなのに……