永遠の翼
最終章
教会。



そこに、ひとりの女性がいた。



黒いダッフルコートをまとった美女。



彼女が、ピアノに手をかける。



「さあ、始めましょうか」



ひとり、穏やかな顔で言う。



「物語の、終焉を」



彼女は奏で始めた。



愛の歌を。



彼女が愛するひとが作った歌を。



今度は、たったひとりの、たいせつなひとのために。



思い起こすのは、そのひとの笑顔。



自分に笑顔をくれた、幸せな笑顔。



それを取り戻すために。



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