永遠の翼
ダイニングには、いつもの面々が揃っていた。


挨拶を交わして、席につく。


「遅いぞ宏。俺の作ったうまい朝食が溶けるだろ」


「いや、溶けはしないと思いますけど」


と、言いかけて、自分の席にある物体を見る。


・・・それは一般的にアイスと呼ぶ代物だった。


「・・・いったい何が起こったんですか。今は冬ですよ」


俺は秋夫さんに問い掛ける。


「記念だ」


「何のっ」


「アイスの」


「いつそんな記念があったんですか」


「いいか、宏よ。アイスとは、つまり愛なんだ。溶け合うんだよ・・・」


頭でも打ったのだろうか。


「でも、割といけますよ。冬のアイス」


優子がアイスをスプーンですくいながら言う。


「まあ、そういう訳だから食え。家長命令だ」


「・・・・・・」


俺は黙ってアイスのふたを開ける。


自家製だから、味は美味しい。


だが、食後は悪寒で満たされた。


< 167 / 230 >

この作品をシェア

pagetop