永遠の翼
扉を開けてすぐに気がついた。


幻想的な教会の中、ピアノの音色が聴こえる。


美しい旋律に引き込まれる。


誘われるかのように、聖堂の隅にあるピアノまで歩み寄っていく。


ピアノを弾いていたのは、ひとりの女性だった。


―――黒のダッフルコートをまとった女性。


雪のように白い肌。


腰まで届くであろう、長い黒髪。


その姿は、どこか神秘的で・・・


教会の雰囲気とあいまって、とても絵になった。


同時に、今にも消えてしまいそうな・・・


悲しいような、儚さがあった。


だから、見入ってしまった。


あまりに幻想的なその光景に。


演奏が鳴り止む。


「あらあら」


女性は俺の存在に気づいたようだ。


ゆっくりと、俺のほうに歩み寄り・・・


微笑みとともに、尋ねてきた。


「この教会は、もう使われていませんよ。いったいどんな御用事ですか?」


「いや、用事ってほどのことじゃなけど・・・あんたは?」


「わたしですか?」


「ああ」



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