永遠の翼

宏~彷徨う少年~

雪の降るクリスマスの夜。


ホワイトクリスマスなんて、意味ない。


雪なんて、ただ鬱陶しいだけだ。


どうして、ホワイトクリスマスが幻想的だとか、ロマンチックだとか言うんだろうか。


俺には理解できないな・・・


クリスマスの喧騒に包まれた街。


その中、ひとりで傘を差して歩く。


視界には、さびれた教会。


「教会か・・・ちょっとピアノ弾いていくかな」


今はもう使われていないが、結構歴史があるらしく、現在も残っている。


実際、この教会には幻想的な雰囲気があった。


その雰囲気が好きだということと、めったに人が来ないという理由で、たまにここでピアノを弾いたりする。


だが、しばらくここを訪れていなかった。


「ここのピアノ、好きなんだけどな・・・」


ひとり言を呟きながら、教会の扉を開けた。


―――始まりの扉を。




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