先生は蒼い瞳の狼くん





まさか、この事…?


「せ、先生」


「言わなきゃ、開けてあげないぞ」


「…~っ!」



なんだか、凄くいじめられてる


でも飲みたいし…言うしかないのか


「ち、」


「ん?」


正面からハッキリと合わせるのは恥ずかしくて少しだけ身体を横に向けてその綺麗な瞳に視線を合わせる



「千尋…先生、あ、開けて、下さい…」


「………」



私がそう言うと、勝ち誇ったように笑い口を開く


「んー…残念、開けてあげない」


「………」



なっ…


「先生!い…意地悪!」


最低、最低、最低だ


ドキドキして一生懸命に頼んだのに、なにそれ


一気に視線を外して先生に背中を向ける


優しい顔してるのに、やることは意地悪だ


今、なんとなくだけど…瑠花の言った意味が分かった気がする



「そんな拗ねるな」


「…………」


「つい、からかいたくなってな」



笑ったまま、そう言いながら黙り込む私の前に回り込み、手から缶を取り上げプルタブを開けてから私の手を取り再び缶を握らせる



「……」


「ほら、早く飲め」



この行動に、誤魔化された気がするのは私だけだろうか


この、微妙な優しさに…



「…先生って、もしかしていつもそーやって生徒いじめてるんですか?」



少しの抵抗、ただ先生に嫌みを言いたくて言った言葉に目を丸くしてクスリと笑う



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