先生は蒼い瞳の狼くん





「そうだな」


「……」


「苛めるのは、嫌いじゃないからな」


「……」



あぁ…ダメだ


この先生に嫌みは通じない


なに言っても返されてしまうなら、もう止めよう


半ば諦めて、先生からもらったジュースを口にする



あ、これ以外に美味しい


今度自分で買おうかな…



そう、何口か口にしていると廊下を勢いよく走って来る音が聞こえる


「うるさいのが来たな」

「…え?」


誰ですか?なんて聞く前にドアが荒立たしくあき、息を切らしながら、瑠花が保健室の中に入って来る


「る、瑠花?」


「さ、サラぁー!」


叫びながら、私に抱きつきて来て思わずその反動で転びそうになると、いつの間にか私の後ろに立っていた先生に肩を支えられる



「……あ」



「こら、渡部…雪村が転ぶだろ」


「え?あ、ごめんごめん」



瑠花が私から離れると同時に、先生の手も私から離れていく


「それより、そんなに急いでどうした?」


「あ、うん。龍之介からサラが怪我したって聞いて急いで来たんだけど…」



"怪我大丈夫なの?"と聞かれ私は軽く頷く



「大丈夫だよ、先生が手当てしてくれたから」



「本当に?本当に大丈夫?痛くないの?ねぇ、ちーちゃん!サラ本当に大丈夫なの?」


余程心配していたんだろう…何回も聞いて来る瑠花になんだか嬉しくなる



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