クリスマス・ハネムーン【ML】
「ほほう。
 ジョナサン。
 君は、螢の口づけが見たいのか?
 その言葉、後悔するなよ?
 螢のキスが、どんなに魅力的でも。
 絶対、君には螢をやらんからな!」

「お、おいおい!
 ハニー!!
 あんたまで、何言ってんだよ!」

 普段、ハニーは人前でこんなことは、絶対に言わないのに!

 全部が終わって、めでたい気分に、浮かれているんだろうか?

 そんなことを思っているうちに。

 ハニーは、器用に、ライチの皮を剥くと。

 ……そのまま、僕の口には、放り込むことはせず。

 ライチを自分の口にくわえて、にこにこと僕に迫って来た。

 ……つまり。

 ライチを取りたかったら、口づけろ……って?

 キスなんて!

 口づけなんて!!

 ハニーと二人きりの時は、何も問題ないし。

 何回したか、なんて数えきれないほどのことだったけれども。

 佐藤とジョナサンの視線を気にして、たじろげば。

 ハニーは、僕の肩を抱きしめて、そのまま、唇を重ね……

「わ……わわわっ!
 ダメだって!
 やめろよ!
 反則だって!
 ハニ………っ……ん」



 ……胸が。



 胸が、ぎゅっと、押さえ付けられるように苦しいのは。




 ハニーの顔がすぐ近くにある……から?

 ベッドの上部を上げて。

 果物の乗ったサイドテーブルが僕を挟んでいれば、逃げられるわけもなく。

 そもそも『照れ』以外、拒否をする理由がなければ。

 ハニーがしたいなら、と。

 僕も、無駄な抵抗をあきらめ。

 目を瞑って、唇と、果物を受け入れる。

 胸が苦しくて。

 どくどくと脈打つ鼓動を耳の底で聞きながら。



 息が、苦しいのは……



 甘い口づけが、長すぎるせいか?


 
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